1978年神奈川県生まれ。2002年東京藝術大学美術学部彫刻科卒業。2004年同大学院美術研究科彫刻専攻修了後、2007年同博士課程を修了。現在、東京藝術大学美術学部彫刻科准教授。
大竹利絵子作品の魅力は、その荒削りな木のなかに佇んでいる存在の繊細さにあります。いつかの、どこかの記憶のような夢のような人や鳥やシーンが、見る人のどこかにつながってその魅力は広がります。
主な個展に「あなたはどこから来たの?」(小山登美夫ギャラリー、東京、2021年)、「Way in, or Out」(8/ ART GALLERY/ Tomio Koyama Gallery、東京、2015年)、「たぶん、ミミ」(小山登美夫ギャラリー、東京、2012年)など。
主なグループ展として、「彫刻と家」(旧平櫛田中邸アトリエ、東京、2021年)、「真鶴町・石の彫刻祭」(神奈川、2021年)、「刻まれた時間-もの語る存在」(東京藝術大学大学美術館陳列館、東京、2018年)「現代・木彫・根付 (海外巡回展)」(ベトナム日本文化交流センター、ハノイ、2018年)、「
アートのなぞなぞー高橋コレクション展 共振するか反発するか?」(静岡県立美術館、静岡、2017年)、「片山正通的百科全書Lifeishard…Let’sgoshopping.」(東京オペラシティアートギャラリー、東京、2017年)があります。
2005年第9回岡本太郎記念現代芸術大賞展入選。作品は高橋コレクション、ジャピゴッツィコレクションに収蔵されています。
個展
2023 | 「Hanako」 森岡書店、東京 |
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2021 | 「あなたはどこから来たの?」小山登美夫ギャラリー、東京 |
2015 | 「Way in, or Out」8/ ART GALLERY/ Tomio Koyama Gallery、東京 |
2012 | 「たぶん、ミミ」小山登美夫ギャラリー、東京 |
2009 | 「夢みたいな」小山登美夫ギャラリー京都、京都 |
2008 | 「とりとり」小山登美夫ギャラリー、東京 |
グループ展
2024 | 「ヒューマンビーイング-藤野天光、北村西望から三輪途道のさわれる彫刻まで」群馬県立館林美術館、群馬 |
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2023 | 「平衡世界 日本のアート、戦後から今日まで」大倉集古館、東京 「手でふれてみる展覧会」 ギャラリーOGU MAG、東京 |
2022 | 「第3回 彫刻と家」 旧平櫛田中邸アトリエ、東京 「ナチュラル・ファンクション」スパイラルガーデン、東京 「Flower of Life 生命の花」ヴァンジ彫刻庭園美術館、静岡 |
2021 | 「第2回 彫刻と家」 旧平櫛田中邸アトリエ、東京 「真鶴町・石の彫刻祭」真鶴町、神奈川 「花と鳥」小山登美夫ギャラリー、東京 |
2020 | 「CADAN Showcase 01 『NEWSPACE / NEWCOLLABORATION』」CADAN有楽町、東京 |
2019 | 「第1回 彫刻と家」旧平櫛田中邸アトリエ、東京 |
2018 | 「アトリエの末裔あるいは未来 #EXTRA」旧平櫛田中邸アトリエ、東京 「刻まれた時間−もの語る存在」東京藝術大学大学美術館本館、東京 「現代・木彫・根付 (海外巡回展)」ベトナム日本文化交流センター、ハノイ、ベトナム |
2017 | 「アートのなぞなぞー高橋コレクション展 共振するか反発するか?」静岡県立美術館、静岡 「片山正通的百科全書 Lifeishard...Let'sgoshopping.」東京オペラシティアートギャラリー、東京 |
2016 | 「彫刻ー気概と意外」東京藝術大学大学美術館陳列館、東京 |
2015 | 「第十回アトリエの末裔あるいは未来」旧平櫛田中邸アトリエ/東京藝術大学大学美術館陳列館、東京 |
2013 | 「銀座三越×小山登美夫ギャラリー アートセレクション」銀座三越 8階ギャラリー、東京 |
2012 | 「大竹利絵子・川島秀明・小出ナオキ 作品展」8/ ART GALLERY/ Tomio Koyama Gallery、東京 |
2011 | 「續・彩虹 As Long As Rainbow Lasts」Soka Art Center、台北、台湾 |
2009 | 「彫刻 −労働と不意打ち」東京藝術大学大学美術館 陳列館、東京 |
2007 | 「物語の彫刻」東京藝術大学大学美術館 陳列館、東京 |
2006 | 「第9回岡本太郎記念現代芸術大賞 展」川崎市岡本太郎美術館、神奈川 |
2005 | 「アトリエの末裔あるいは未来」旧平櫛田中邸、東京 |
パブリックコレクション
OKETA COLLECTION
国際交流基金
札幌宮の森美術館
Japigozziコレクション
高橋龍太郎コレクション
真鶴町、神奈川
出版物
『Hanako』2023 torch press 著者: 大竹利絵子
『あとは切手を、一枚貼るだけ』2019 中央公論新社(単行本) 著者: 小川洋子・堀江敏幸 装画:大竹利絵子
『夢みたいな』2010 小山登美夫ギャラリー 著者: 大竹利絵子
グループ展「ヒューマンビーイング-藤野天光、北村西望から三輪途道のさわれる彫刻まで」群馬県立館林美術館、群馬
グループ展「平衡世界 日本のアート、戦後から今日まで」大倉集古館、東京
個展「Hanako」 森岡書店、東京
グループ展「手でふれてみる展覧会」 ギャラリーOGU MAG、東京
グループ展「第3回 彫刻と家」 旧平櫛田中邸アトリエ、台東区、東京
グループ展「ナチュラル・ファンクション」 スパイラルガーデン、東京
グループ展「Flower of Life 生命の花」ヴァンジ彫刻庭園美術館、静岡
グループ展「彫刻と家」 旧平櫛田中邸アトリエ、東京
「真鶴町・石の彫刻祭」真鶴、神奈川
グループ展「CADAN Showcase 01 『NEWSPACE / NEWCOLLABORATION』」 CADAN有楽町、東京
グループ展「彫刻と家」旧平櫛田中邸、東京
「真鶴町・石の彫刻祭」真鶴、神奈川
グループ展「アトリエの末裔あるいは未来 #EXTRA」旧平櫛田中邸、東京
イベント「Art for Gift-アートを贈るクリスマスー」BOOK & GINZA ATRIUM、東京
グループ展「刻まれた時間−もの語る存在」東京藝術大学大学美術館、東京
グループ展「現代・木彫・根付 (海外巡回展)」ベトナム日本文化交流センター、ハノイ
グループ展「アートのなぞなぞー高橋コレクション展 共振するか反発するか?」静岡県立美術館、静岡
グループ展「片山正通的百科全書 Life is hard… Let’s go shopping.」東京オペラシティ アートギャラリー
グループ展「彫刻-気概と意外」東京藝術大学大学美術館陳列館、東京
グループ展「續・彩虹 As Long As Rainbow Lasts」Soka Art Center、台北、台湾
グループ展「彫刻 −労働と不意打ち」東京藝術大学大学美術館陳列館、東京
Rieko Otake "Way in, or Out"
2015年11月25日(水) - 2015年12月14日(月)
hikarie8.com/artgallery/2015/11/riekootake.shtml
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8/TV/084 IN THE ARTIST'S STUDIO | RIEKO OTAKE
CREDIT
Executive Creative Director : Kenmei Nagaoka (D&DEPARTMENT PROJECT)
Creative Director : Shin Sasaki (3KG)
Producer : Mitsuko Matsuzoe (D&DEPARTMENT PROJECT)
Director : Masaya Suzuki
Interview : Masaya Suzuki
Camera : Natsuyo Nakamura
Production Manager : Tatsuya Kawano
このインタビューは、オープニング(11月26日)当日、ギャラリーで行われた[アーティスト・トーク]の模様を編集したものです。
——— DMの写真をみてこの作品って、こんなに大きかったのか!と思ったのですが*1、写真のはこっちだったのですね *2 。
大竹 大きさについては存在と向き合うというか、どちらも本当なんじゃないかというのがありまして、展示する場所との関係によっても変化するものだと思います。
——— (映像ルーム *2 に入る)別世界に入った、という感覚がありますね。
大竹 もともと映像を映す部屋として暗い部屋あるということで、今回そこを使ってみようと思いました。部屋が暗くて狭いので、見る人と作品との距離がより密になるのかなという感想です。作品によって空間を把握していくというか…。
——— こういう立像はずっとあるイメージなんですか?*3
大竹 こういった洋服を着たものですか?学生のころはありましたが、最近はなかったですね。タイトルは「girl」と「doll」です。大きい方の対も同じです。
——— それにしても大きいですね。なぜここまで?
大竹 作品自体の大きさと、作品が内包する大きさがあると思います。それらとの距離のとり方によって、作品に強度を持たせることができるのではないかと考えました。
——— 彫刻は平面と違って360度から見れると思いますが、作家さんとしてはこれが正面だというのはあるんでしょうか。
大竹 360度どこから見ても良いように、そこは意識しています。色んな方向から見ていただければと思います。
あと、体で触る、という感覚が立体作品にはありますよね。実際は触っていないんだけれど、触覚的に感じるというか。
——— 具体的なモデルはいるんですか?
大竹 いません。顔はつくりながら決まってくる感じですね。なので例えばこの大きい作品も7回くらい色んな顔に変わって、やっとこの顔になりました。
——— 平面だったら気に入らなかったら消したりできると思いますが、どうやって変えるのですか?
大竹 だんだん小さくなっていきます(笑)。全体のバランスを見ながら彫っていくので、彫刻だけというよりは、周りの空気のようなものも含めて見ていきます。切って足す、ということもできるので木彫はわりと自由にかたちをつくることができます。
——— ドローイングはするんですか?
大竹 細かくはしなくて、全体のイメージをつかむために描いてみたりします。
木彫の場合、もともと素材として木があるわけです。
そこから顔をつくる場合、目と鼻と口ができればすぐに顔として見れてしまうというのは逆に怖いですね。それは自分で気をつけているところです。存在してしまっている怖さ、と言いますか。
——— 写真でみるよりも荒っぽいタッチなのが印象に残りました。写真でみると繊細さを感じていましたが、実物をみると大胆さも感じます。
大竹 そうですね。彫るときのリズムを大切にしています。
——— きれいにしちゃうと想像するところがなくなってしまうんでしょうか。
大竹 荒くても「きた」っていう時がありますので、それを大事にしています。
——— 「きた」という時があるんですね。
大竹 そうなんです。実はそれが今回はなかなかこなくて・・・。たとえばこの作品は体と頭部のバランスが決まらなくて *4。自分のなかでOKを出してしまえばつくってしまう事はできるんですけれども、「きた」という状態になるまでぎりぎりまでねばっていたいというか。作品が私から離れた時というか、自立した時の「きた」っていう感覚ですね。
——— 人間だから活き活きするように見えてくるんですね。魂をもってくるというか。
大竹 そうですね。それもあると思いますが、モチーフが人間ではなくても、彫刻としての存在を意識していれば、何をつくっても同じように接することができると思います。
——— こちらは「doll」と「girl」、人形と人間なんですね。
大竹 人形と人間なんですが、同時にそれが彫刻であるというところに興味があります。
——— 姿勢に意味はありますか。
大竹 あまり動きはつけないことが多いですね。何かをしているポーズだと、そっちが強くなっちゃうので。
——— それよりは「永遠性」という感じのものをつくっていらっしゃるんですか。
大竹 そうですね。あまり言い切ってしまいたくないというか。
——— 以前の作品「ピエロ」もそうですが、人物の姿勢がすごくいいものがありますね。
大竹 あの作品は、直接的なきっかけではないのですが、溝口健二の映画で「お遊さま」というのがあって、登場人物が正座をしているシーンが、なぜか強く印象に残りました。そういった日常の中で見たり感じたりしたことが、ふいに作品に出てくるということはあります。
——— あと猫背の人もいますが、あれはスカートを持っているんですね。何か物語はあるんですか。*5
大竹 具体的な物語はないですけど、やっぱり子供の時に絵本で見たお姫様のイメージとかがあったりしますね。なぜか・・・(笑)。あとは、意味というよりも、彫刻の佇まいというか、構造的なことを意識していることが多いです。
——— 半年以上前に制作の途中でスペースをご覧になりました。今回の制作と出展作、それとスペースにどういう関係があるでしょうか?
大竹 この建物の外観を見てまずびっくりして(笑)、また中に入ったらイメージしていたのと違う空間がひろがっていました。ひとつひとつ違うスペースがつながっているといるのが印象的でした。ひとつのものにつながっていっているというところで、「夢」というのも自由にいろんな場所に行き来できたり、そういう部分が夢でも、また日常でもあるんじゃないか、と考えました。
——— そういうところからタイトルもでてきて、通路の作品がその「夢みたいな」というタイトルなんですね。*6
大竹 はい、この作品が展示全体をつなげるような役割をしています。
こっちの部屋は鳥があったり、女の人があったりするんですけど、微妙に重なっている部分とずれている部分があり、またイメージがだぶっていったりずれていったりってしている中、この作品がそれをつなげているんじゃないかな、と後から思ったんですけど。この建物の構造が作品を決めて行くのに重要でした。
——— 鳥はやっぱり特別な存在なんですか?
大竹 鳥っていうのは空を見上げれば飛んでいて身近なんだけれども、遠いっていう感じがします。これは鷹です *7。
——— そしていつも人と一緒になっている作品が多いですね。
大竹 鳥だけっていうのもつくっているんですけれども、まだできていません。
——— これは一本の木ですか?
大竹 はい、内側をくりぬくために切っていますが、一本の木です。幅をもって見れるような形態を意識しています。あの脚の女の子とか・・・。*8かたちを意味で説明するんじゃなくって、かたちから作品の世界を広げていけたら、と思います。何かをつくっていて他の作品のプランが浮かぶことも割とあります。
——— 作品によって木の種類が違うっているのはどういう意味があるですか。
大竹 木は材木屋さんで手に入るもので気になったものを買うんですけれども、それを見てかたちを選ぶっていうのはあります。また彫り方が変わってくるというか、彫るリズムが変わってくるというのはありますね。例えばこの榧 *7 は固いので割とざっくりと面がでるんですけれど、あっちの作品*6 は桂で柔らかいので手の入れ方を変えないと形になってこない、とか・・・接し方が木によって変わってきますね。
——— 小さい作品と大きい作品で使う道具は変わるんですか? 何種類くらいありますか?
大竹 いっぱい使います。何十本と使います。いろんなかたちをつくるためにそれくらい必要なんですけれども、人からはよく丸のみと平のみ二本で足りるんじゃないか、といわれます(笑)。*9
——— ずっと手彫りなんですか?
大竹 最初はチェーンソーで量を落としていきます。それからは手で彫っていく感覚を大事にしたいので、あまり電動工具とかは使いません。彫るリズムが大事なので・・・。
——— 制作にどれくらいかかるんですか?
大竹 いろんなものを同時進行しているのですが、一体だったら大きい作品で三ヶ月くらいですかね。
Interview by Tomio Koyama Gallery